6月の第三週と言えばそう『Le Man 24Hours』。過去何度も壮絶なドラマを生んできた世界最大の自動車耐久レース。世界中の自動車メーカーが何年もの歳月と莫大な資金を投じて勝ちに来るものの、決して楽には勝たせて貰えない、悪魔の掌で走り続けるという過酷なレースなのであります。
2016年6月19日、何とも劇的な終わり方…というか、レースというものの恐ろしさを改めて思い知らせてくれた出来事でありました。
▼ ル・マン24時間レース、トヨタが初優勝を逃す。TS050 ハイブリッド 5号車がストップ - Car Watch
▼ 残り5分での大逆転劇、今年のル・マン24時間はポルシェ 919ハイブリッドが総合優勝 - Car Watch
事の詳細は多方面で詳しく書かれることと思いますが、ひとつだけ。
「ル・マンの魔物には勝てない…」
23時間55分の時点でトップを走っていながらの脱落、リタイア。恐らく、今後も毎年の様にゴール直前になると『2016年のトヨタ』の話が繰り返されることになるのでしょう。本当にレースはフィニッシュラインを跨ぎチェッカーを受けるまで(結果は)分からない…ことを証明してしまったかのような出来事。
そしてその数分前に優勝したポルシェチームを襲った『あと数Lapで追いつくハズのタイミングでのスローパンクチャー(徐々にエアーが抜けていく症状)』という悲劇。それでも『ナニカあるかもしれない』という万に一つの可能性にかけてレースを捨てず前のトヨタを追い続ける姿勢というものが『優勝』という結果に結びついた出来事でもありました。
かつてその昔、自分がレースで走っていた頃にあった出来事を思い出しました。そう、最終Lapの最終コーナー、チェッカーの100m手前でハイサイドで空を飛び頭から地面に叩き付けられリタイアになったことを…。ポディウムでのシャンパンファイトにたった100m、届かなかったのでありました。たった100m、されど100m。
そして当時、レースの世界ではよく言われていた言葉があります。
「勝ちたい、と思いながら勝てなかった人は沢山いる。
だが、勝てなくても良い、と思ってて勝った奴は1人もいない」
まさにこれ。ポルシェの姿勢そのものではないですか。過去何度もル・マンに勝利してきたポルシェだからこそ身をもって得てきたレースに対する姿勢そのもの。
「最後まで決して諦めない」
ということの大切さを改めて教えてもらったような気がします。
あ、カジキ、残念だったね。数年前、ニッサンさんのデルタをカーティングでコース外に弾き出しちゃった件あったよね。あれ、まだ償われてなかったんだよ、きっと。ル・マンの神様はそのことちゃんと覚えてたんじゃないかな。そしてその時の贖罪として今年の5分前までトップを走りながら突如の終了宣告。これ以上は無いと言える劇的な償い方だったのではないかと思えるんですよ。諦めちゃダメだよね、きっと来年こそは。
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