遠隔操作犯行予告事件に関する推理

ここで少し話を遡り、地図にプロットするための『重要ポイント』を抽出する作業から始めます。事件そのものの経緯は、piyologさんの「なりすまし（遠隔操作）ウイルスによる犯行予告事件をまとめてみた。」というエントリーに詳しく書かれているのですが、この事件自体、明らかに何かの目的を持って計画的に行われている感じを受けますので少し整理したいと思います。

昨年6月より始まった犯行予告。これ自体が実は何かの目的を持っていたハズです。単なる愉快犯であればこれほどの期間、わざわざ準備をし足が付く危険を冒してまで遊ぶとは考えにくいです。ということでズバリ、当初の目的は一番最初の横浜市WebサイトのCSRF脆弱性を突く攻撃です。時期的にこの事件より少し前に横浜市のサイトは改修が入っていた記憶があるのですが、詳細についてはあやふやなので断定は避けておきます。恐らく、コンペなどで横浜市へ提案するも蹴られた過去があるのかもしれません。そう、こういったWeb系の構築等に長けた人物、または関係者と見ています。その後のウィルスを用いた遠隔操作や他のサイトを利用した通信技術を駆使する手法からして手慣れた感が拭えません。

では最初の横浜市が本来の目的であったとしたら、何故、以降の予告先が全国に散在することになるのでしょうか。これは犯罪者心理からすると核心を隠すための『偽装』ということになるのでしょう。最初の横浜市だけがCSRFであり、以降はもっぱらウィルスアプリケーションの配布による手法に置き換わっています。攻撃目標も最初の目的を隠すだけのためにひたすら無作為を演じているように見えます。実は以降の攻撃先も最初の横浜市と同様、グルーピングすると綿密に計算されて抽出されているように見えるのです。計画的なのか、無意識に選んでしまったのか、横浜市という行政に対し大阪府、そして保土ヶ谷区の小学校に対し教育機関、その流れで皇族絡みなど、木を森に隠そうとする意図が窺えます。そう、最初の横浜市サイトが目的であったことを隠したいが為に延々と『演じている』様に見えてきます。

恐らく、この真犯人は自己顕示欲が非常に強く、情報通信技術において絶対の自信を持っているのでしょう。しかし、社会がそれを受け入れなかった（先の推測で言えば選定されなかった）ためそれに対する復讐劇を始めてしまった様に思えます。技術だけは立派なのに社会的なモラルとか常識に欠けた幼稚な大人なのかもしれません。

10月に入り真犯人は、6月から9月まで繰り返してきた犯行予告事件の種明かしを始めます。これは最初の目的である横浜市も、警察を愚弄する目的としていたことを印象づけるための方便でしょう。本来の目的をその他に埋める為の偽装でしかありません。しかし真犯人はここで大きなミスを犯します。11月のギブアップメールがそれ。最初の犯行予告としてターゲットにしてしまった保土ヶ谷区を舞台にしてしまったことです。横浜市がターゲットであることを隠したいがために保土ヶ谷区や最初の予告であった小学校付近を装ってしまい、目的が横浜市であることが逆に明確になってしまった様に見えます。

さらに年末年始のメールに関して、明らかに真犯人の行動範囲が推測できるミスを犯しています。それが先の地図に示した同心円状の範囲。雲取山の件は、明らかに3日の江ノ島へ行動する際、捜査陣を逆方向へ注視させるための偽装です。雲取山のクイズは解析に数日かかると踏んでいたのでしょう。真犯人の予測より解析される方が早かったのは意外だったかもしれません。しかし、真犯人にとって数時間から半日内で行動できる範囲が明確になったとも言えます。雲取山は明らかに足が届いていません。画像もインターネット上から拾える画像を細工したもの。江ノ島は実査に足を運んでいます。新宿、横浜は土地勘が少なからずあるであろうことが想像出来ます。ということで八王子から日野、相模原、町田にかけて。横浜市をターゲットとする仮定で考えると、横浜ないしは近辺までが通勤圏内の場所と追ってみるのも良いかもしれません。

おまけで真犯人の今後の動きの予想。次に行動で出るのは神奈川なら小田原、箱根。埼玉方面だと飯能からさいたまにかけて。それ以外は恐らく引っかけと見て良いかもしれません。何となくTDLに行く様なタイプじゃないんじゃないかな。というか、この真犯人、もうこれ以上アクション起こさない気がします。だって当初の目的は達成しちゃってるし、後の攪乱は散々やりつくしてますから。このままフェードアウトしてバイバイってのが一番可能性高いんじゃないでしょうかねぇ。