昨夜、「Skypeと無線ブロードバンドが及ぼす通信業界への影響」といった記事が出た。内容的には、タイトルが示すそれぞれの要素と通信に限った話ではないと思うのだが、大いに可能性の高いこととして受け止めざるを得ないものとして感じた。
現実にインド、パナマ、カタール、メキシコなどの国ではSkypeやVonageを含むVoIP電話サービス全体を国の命令で規制しようとしており、メキシコでは実際にサービスプロバイダーに対してSkypeサイトへのアクセスを禁止する措置に出た。
このような特定の利益の為に、公共の利益を無視するやり方も出来てしまうのだろうが、当面、日本においは可能性は低いのではないかと思える。何故ならば、日本は国を挙げて「u-Japan ユビキタスネット・ジャパン」という目標を掲げ、これに邁進していることから窺える。当に、何時でも、何処でも、何とでも、繋がる…ということだから。これを否定することは、即ち先の政策そのものを自己否定してしまうことになってしまう。もはや一介の企業の都合ではこの流れを止めることは不可能だ。
そして本命はこの辺に現れる。
525円というと喫茶店のコーヒー一杯分、マクドナルドのハンバーガーセット一個分。これで現在のADSL並みのブロードバンドが一ヶ月まるまる使えるというインパクトは非常に大きい。しかもADSLと違い、カバーエリア内なら自宅や会社のみならず外でもそのまま使えるわけだからADSLや光ブロードバンドさえも駆逐される可能性が出てくるだろう。
もう既存のビジネスモデルが通用しない時代が直ぐ其処に来ている。特に、収益の大部分を担ってきたであろう都市部においては、明らかにモデルが変わりつつある。今後は地方、過疎地といった、収益の上がらないところに過去の遺産のごとく古いビジネスモデルが取り残されていく様がありありと見える。電電公社が民営化され、10年ほど前に携帯電話も買い取りが許された頃より既存の事業者は何も努力をしてこなかったと言われても仕方あるまい。何も新しい技術、サービスを提供することが努力ではない。既得権利の上に立って利益が勝手に生まれる、という電電公社以来のビジネスモデル以外のビジネスモデルを作り得なかったという意味で努力がされていなかったということ。当然、既得権利だと思いこんでいたものが、権利で無くなった時には古いビジネスモデルは成り立たない。こればかりは資本主義を名乗る社会において活動する以上、否定のしようが無いし、潰れても文句は言えない。ムーアの法則は何も、CPUのクロックだけに当てはまるものではないようだ。社会の変化のスピードにも言えるのかもしれない。
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