この数年、F-1のレースでは年ごとにレギュレーションがコロコロ変わり、車体自体も速度を抑制させる方向でヘンテコリンな規制が幅を利かせている。おまけに昨年までの給油を強制させるルールといい、何処かドライバーのバトル以外での要素があまりにも勝ち負けに影響し過ぎていた様に思うし、実際それが勝負を分けてしまっていたのも事実。それが今年に入り大きく変わり、給油の禁止や奇抜な溝入りスリックからのフラットなスリックへの変更となったお陰で、そこそこ楽しめるレースになってきていた印象が強いにも拘わらず、昨日のHockenheim Ringではこの楽しみに水を差す様な出来事が起こってしまったのはもの凄く残念なことだと思う。
レース後半、ワン・ツー体制を築き上げていたフェラーリチーム。マッサがトップを走り、後ろからアロンソが追い上げてくる。更に後ろはハミルトンが迫る展開。ここでマッサの無線にチームから信じられない言葉が飛んだ。「後ろのアロンソがファステストだ。アロンソの方が速い。分かるだろ?」これが恐ろしくも丁寧に、かつ言葉を切りながらインカムに入ってくる。地上波での放送では臭わす解説はあったものの、断定する様なところまでは流してないが、レース後にピットへ戻ってきた時のマッサの表情、振る舞い、そしてポディウムでのしらけた態度、会見でのぶっきらぼうな回答からは、チームオーダーがあったことを物語っている様に見えた。恐らくは事の真相は外に出てくる事はないのだろうけど、こういったドライバー同士の勝負に、チームの台所が直接関与してしまうシーンを目撃してしまうとレースそのものが面白くなくなってしまう。
そしてやはりFIAは動いたようだ。
今年から新規参入した複数のチームが非常に遅い(トラック上でトラフィックとなる)ことに対して、フェラーリが「(遅いクルマの新規参入ではなく)サードカー体制にするべき」と主張していたのはチームオーダーが目的だったのではないか、という見方までしてしまうのは気のせいではないだろう。
そしてやはりFIAは動いたようだ。
フェラーリがドイツGPで見せた露骨なまでのチームオーダーに対し、現地では早くも論争が巻き起こっている。フェラーリのチーム関係者がスチュワードに呼び出しを受けていることが分かった。このような客観的な事象からして、その疑惑は限りなく黒い。
レースは中盤までフェリペ・マッサがリード、フェルナンド・アロンソが2番手を走っていたが、その後アロンソのペースがマッサを上回り始めると、フェラーリはマッサに対してチーム無線で「フェルナンドは君より速い。この意味を理解できるな」と伝えた。
このチームオーダーともとれる指示に対し、マッサは誰の目にも明らかに減速してアロンソに前を譲ると、マッサ担当のエンジニアであるロブ・スメドリーも即座にマッサに謝罪。一方、当のマッサはレース後の表彰式ではほとんど笑顔を見せず、記者会見でも「特に言うことはない」とコメントするに留まっている。
レース後、フェラーリはチーム代表とチームマネージャーがFIAのスチュワードに呼び出されている。チームオーダーについては過去にも論争の対象となっており、現在のF1では禁止されている。
フェラーリのチームオーダー疑惑を調査したFIAは、同チームに対して10万ドル(約875万円)の罰金を科すことを決め、最終的な結論を世界モータースポーツ評議会(WMSC)に委ねることを発表した。しかし、何が何でもチームオーダーを否定するつもりは無い。誰の目にも分からない様にするべきという意味で。あくまでも見ている客があってのレースであること。その客が楽しめない流れを作ってしまうのは、将来の自分たちの首を自ら絞めてしまっているようなものではないだろうか。あくまでも結果として「そうなってしまった。全力は尽くした。」というポーズは必要なのだ。そのあたりの考察は下の記事が的を射ているのかもしれない。
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また、今のところはレースのリザルトが変更される動きは見られていないが、いずれにしても世界モータースポーツ評議会がこの件を引き継ぎ、更なる制裁を科すかどうかを決めることになるという。
今年から新規参入した複数のチームが非常に遅い(トラック上でトラフィックとなる)ことに対して、フェラーリが「(遅いクルマの新規参入ではなく)サードカー体制にするべき」と主張していたのはチームオーダーが目的だったのではないか、という見方までしてしまうのは気のせいではないだろう。
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