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地方自治体にクラウドは必要なのか

数日前の記事になりますが、

7月30日、総務省は「自治体クラウド推進本部」を旗揚げした。常駐スタッフを置く組織ではないものの、本部長に原口一博総務相が就き、副大臣、政務官、事務次官、関係部局の局長などで構成。課長級による幹事会と、学識経験者などによる有識者懇談会が、地方自治体と協議しながら施策の具体化を進めていく。
という記事が出ていまして、あぁ、まだやってたのね…というのが感想だったりします。この構想自体は以前からあり、数年前には既に総務省が動いていた訳ですね。このあたりは全く記事になることも表になることも無かった訳ですが、地方のICT化を推し進める背景にはこのような壮大な青写真が隠れていたという訳です。
記事の書き方では良いことずくめで、コストは下がる、業者は再編と、肝心の住民に対する影響はほとんど無視されていますが、実はこれが一番厄介で影響の大きいところ。数年前までは都道府県単位での統合が模索され、裏では総務省が手を引いていたのですが、あまりパッとした成果が出てこないのにはこういった大風呂敷が待っていたということなのでしょう。

今から5年以上前、某みかかコミュニ何とかの特命により某府にて芋洗いをして青写真を描いた裏ではしっかり政治が動いており、記事に書かれた既存のITベンダーに関する杞憂は既に青写真が出来ていると見て間違いなさそうです。ただし、地域密着型の小さな会社さんは大手の傘下に入るしかなく、何処かの系列に並ぶことでご飯を食べることになるかもしれません。恐らくは独立系のユニークな会社さんは淘汰の波がもうそこまで押し寄せて来ていることに危機感を持っているのではないでしょうか。

さて、本題の住民への影響です。いきなり答えです。必ず住民サービスは低下します。過去、平成の大合併において住民サービスが拡充した例はありません。科目上は増えているかもしれませんが、内容は確実に低下します。これは規模とコストの関係を見れば誰もが気付く内容です。当然、広く薄くなれば質は下がるものですよね。

これを全国規模でやってしまおう、というのが今回の話題。きっと言い出しっぺの総務省のお役人さんは地方の行政を全く知らない人達です。数年前までの壮大な計画に、何時の間にか旬の「クラウド」などという便利な言葉が流行りだしてきたので一気に拡張してみました、感が漂ってます。

怖いですねぇ、地方行政の中枢機能が一気に中央集権ですよ。即ち国民の総背番号化の始りです。はっきり言ってしまいます。国の得るモノ…全国規模での大型事業とそれに群がる企業の保護。そして見かけ上のコストダウン。ええ、国は失うモノを持ってませんね。さて、地方の失うモノ…地域に密着した行政サービス、地方自治法を無い物にしかねない自治権のトンネル化。代わりに住民の不平不満を得ることができます。

これが全国標準化の実体。国としては住民が得られる中身はあまり気にならない、というかどうでもいいんです。名目上、安くなりました、我が党の成果です、と宣伝できれば良いのでしょう。ありゃ、失業対策の反対行ってますね。
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このページは、たくが2010年8月10日 20:24に書いた覚え書きです。

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