富士フィルムさんからFinePix X100という高級コンパクトデジカメが発表されましたね。クラシカルな外観のレンジファインダー機っぽい雰囲気がデジカメのチープさを打ち消し、かつてのフィルム機にあった重々しさが滲み出てきています。また軍艦部のダイヤルがオモチャっぽいジョグダイヤルではなく指で摘めるタイプの懐かしい作りになっているのも高評価。
発表資料(pdfファイル)を見ていくと、現代のカメラに対する解答は「こうあるべき!」という富士フィルムの思いがヒシヒシと伝わってきます。物作りに対する拘り、個々の部品や機能に対する妥協無き徹底。一種独特の美しさを醸し出す佇まい…。決して扱いやすいとは思えないその姿に「オーナーが使いこなす」という要素を最後に持ってくる潔さ。使う人に媚びないその姿は一種の芸術かもしれません。
- 23mm / F2 Fujinon Lens
昔から「写真の写りはレンズで決まる」と言われている様に、カメラのレンズこそが画の味を決め、撮り手の意志を表現する最も重要な部分。フジノンと言えば一般にはあまり馴染みが無いかもしれませんが、大判カメラの世界では多様なレンズを出していることで知られており、広告カメラマンの中でも愛用している人は多い逸品。飾ることなくニュートラルな表情を素直に写し出すその特性は扱いやすく、シャッターを切る前にその写りがイメージしやすいという優等生的な味付けでしょうか。(135mmフィルム換算だと35mmレンズに相当)
- APS-C CMOS Sensor & EXR Processor
カメラ部では受光部となる重要なところにCMOSセンサーを採用した様です。上のレンズの所でも補足した様に、135mmフィルムフォーマットでは35mmレンズ相当の画角サイズを受けるセンサーは1230万画素となり、フジノンレンズを通した光を余すところ無く記録してくれそうです。
昔のCMOSは少し色気があっさりし過ぎていましたが今ではもうほとんどCMOS一辺倒ですし、カメラ側のプロセッサ処理の向上によりデメリットよりもメリットの方が大きい部分ですよね。
- Hybrid View Finder
今回一番嬉しいポイントはこのファインダー部かもしれません。数多くのコンデジが光学式ファインダーを捨て、液晶のみになってしまった現在、敢えてこの光学ファインダーを積んで来たのは正しい選択だと言いたい部分です。画をつくるにあたって、今見えているその部分をそのまま撮影者に見せることこそカメラの必要な機能。これは液晶では絶対に追いつけない領域です。そこへペンタ部に少し余裕のある一眼レフなどで採用されているLCDパネルからの情報を載せ、上手く光学式とLCDパネル式の良いとこ取りを実現しています。また光学式では視野角100%を実現し、さらにLCDでは144万画素を奢ることで光学式に負けない努力が見られます。
いやぁ、それにしてもこうやって書いていると欲しくなってしまいますね。日経の記事によると発売は来年の2011年春頃、価格は12万円〜15万円ぐらいになりそうとのこと。あと半年、待ち遠しいですね。
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