さて、前のポストの山形紀行の佳境部分なのだ。ということで先ずは地図をあらかた頭の中に叩き込んでおく。
こうやって平面で見てしまうと「何だ、簡単じゃないか」と思えてしまうのだが、地勢的には川の北側は道路より上が完全に山であり、急な斜面の先に全てが収まってしまっているので立ち位置からは目の前にあるもの以外はまったくその存在を目で見ることが出来ないのだ。これが平面的な配置と立体的な配置の違い。木々の覆い茂った急な斜面に設けられた狭い階段を昇り初めてその存在に出会える世界だったりする。
今だからこうやって書いていられるが、最初駅のホームから出口へ向かう途中に「奥の院まで往復すると約2時間です」という張り紙が貼ってあって、一瞬考えた(帰りの時間とか色々諸々もあって)ものの『片道1時間じゃぁないか、はっはっは』と楽観的に捉え突撃することに決定したという経緯もあったりとか。
Nikon 1 V3 + 1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOM
駅を出て右手に折れ、直ぐに左の山へ向かうと川に掛かる橋にでる。朱に塗られた欄干がそれっぽさを演出しているものの、橋そのものは普通に現代のコンクリート製の橋で特に目新しいものはない。あくまでも雰囲気なのだよ…というか。
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川沿いの土産物街道を右(仙台方向)に進むと立石寺の入り口(山寺食堂さんの前あたり)なのだ。僅かばかりの真っ直ぐな階段の上に大きな屋根が見えているのが本堂。行きたいところが見えているとこれしきの階段は一気に昇ってしまえる不思議。
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階段を昇りきったところが広くなっていて本堂がデンと構えている。斜面の中段に平らなところが広がっていて建物が所狭しと並んでいるのだ。訪れたのは午前中だったこともあり、観光客はかなり少なめ。観光バスなどの団体さんが大挙押し掛けるとあっというまに人で溢れちゃいそうな感じです。
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本堂には招福布袋尊さまがドンと構えていらっしゃいます。体を撫でてお願いするのだそうな。それにしても何かちっさいのがいっぱい…。
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こんなところにもちっさいのがいっぱい…。あぁそうか、ここは密かに(別に隠してるわけでもないけど)水子寺でもあるのね。道理で二十歳前後の娘さんを含む家族連れが多かった訳で。そのぐらいの年代の息子連れって皆無だったもんなぁ。事情を汲んだ家族と一緒に…という流れが多いのでしょうか…。あ、こうゆのって邪推って言うんだっけ?
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隣にある日枝神社を通り過ぎ奥へと進むと立石寺山門に着きます。奥の院へはここから山を登っていくわけです。ここまでは誰でも見て回れますがこの先の山は有料。400円也。石段を登ることで煩悩が消滅すると信仰されているのだとか。引き返すのであればここ。しかし千余段ごとき何者ぞ!と勢いで突入。
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進み始めた序盤は楽勝ムードのまんま観光客。山の中だけあって清々しいのだ。暑かったけど。
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石段の周囲に所狭しと石碑や地蔵が並んでいる。この山は何も建っていないものが無い、というぐらいの密度なのだ。
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時折この様な祠が現われる。体育会系の若い人以外はこういった少し平らな場所のあるところで息を整えた方が良いのかもしれない。と、この後すぐに気付いたのだった。
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さぁ、どんどん行くよ〜っとばかりに先を急いでいると…。急に脚が動かなくなって棒のようになってしまったのだ。脚が本当に思い。たった一段すら脚が上がらないのだ。ど、どうした!?何があった!?
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斜面に植えられた紫陽花が満開で綺麗なのだ。こうやって立ち止まり、息を整え、そしてまた一歩一歩登っていく。そう、実は呼吸が遅かったため血中酸素が足りなくなり身体が動かなくなってしまっていたのだ。少し足を止め深呼吸して血中の酸素が行き渡るのを待ってあげるわけだ。そうすると何事も無くまた脚が進んで行く。
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途中に大きな岩が剥き出しになっているところが何カ所かある。そしてそれらにも全て地蔵が彫り込まれているのだ。
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信仰におけるこの造作は万国共通なのだろうか。このスケール感は圧倒的と言っても良いぐらいの凄さだ。
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ほぼ中間地点に仁王門が登場する。赤いままの紅葉に挟まれ、足下に満開の紫陽花が咲き誇る。なんとカラフルな景観なのだろう。しばし脚を止め見とれてしまうのだ。
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3/4ほど登ってくると段々と視界が開けてくる。そうか、下界から見えていたのはこの華蔵院だったのか。
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上の方になると段々と建物が密集しはじめる。奥の院までもうすぐだ。
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千段もの石段を登り切るとそこには奥の院と大仏殿が厳かに構えている。煩悩を振り切り、一歩ずつ石段を踏みしめてきた者のみが到達できる場所。
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山の上であっても信仰を手にした者の手は緩まない。三重小塔もその一つ。
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奥の院付近から下界を眺めるとこんな感じ。下から見上げるとそれほどでもなかったのだが、上から見るとかなり高く感じるのだ。
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きっと秋には山全体が色づきさぞ綺麗な景色になることでしょう。たぶん、ここまで登ってくるだけの価値はありそうな気がします。
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展望台からオマケでジオラマ風に。集落とJRの駅周辺を一望。もうちょっとだけ左に振った方が良かった…。
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決して広い世界ではないもののなぜか広い景色。別世界ではなく、手が届きそう感があるのが良いのかもしれない。
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帰りは登った道をほぼ返してくるだけの簡単なお仕事。厳密には下山ルートとして少し別設定されているんだけどほとんど差異は無し。下の道まで降りきったところでお昼。ということでつい一件のお店に捕まってしまいました。板蕎麦なのである。ザルの盆バージョンなだけなんですけど。ザルの1.5倍だよ、とはお店の方の言。川面を眺めながら一風の涼と共に美味しく頂きましたとな。ご馳走様。
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