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箱根山噴火後の影響についての考察

一昨日、『箱根山に火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が出される』という内容をポストしたのだが、果たして我が街『藤沢』にどのぐらい直接的な影響が及ぶのだろうか…という興味から調べてみると、色々と勉強になるものも含め知らなかったことが大量に出て来るわ出て来るわで頭の中が混乱しそうだったのでここらで少し纏めておくことにします。

で、今回噴火の可能性があるのは箱根の大涌谷なのだが、そもそもこの大涌谷、どんな感じなのかということを調べてみることにした。Google Mapでは衛星写真で大凡の感じは掴めたものの、傾斜などの地形的な状況まではほとんど確認することが出来ない。そこでGoogle Earthの登場である。

Google Earthで見る箱根大涌谷

画面のほぼ中央、禿げて山肌が見えている部分なのだが、これで大涌谷そのものの傾斜、向いている方向、周囲の地形などが確認できる。画面右上の隅が相模湾、左下の隅が芦ノ湖、上部に薄く左右に広がる平地が小田原市だ。後の考察ではこの周囲を含む地形というものが割と重要と考えるので真っ先にこの条件は確認しておく必要がある。

以下は個人の勝手な憶測であり正常化バイアスのかかった楽観的考察なので続きに書くことにする。あくまでも個人の推測であり、残念ながら専門的な根拠は無しである。さらに付け加えるならば、噴火が大涌谷で発生すること、山体崩壊を伴わない程度の小規模爆発で考察している。

 

さて、大涌谷の地形を確認したところで先のGoogle Mapに戻ることにする。

箱根大涌谷噴火における影響の範囲考察

いきなり放射線状に区画を仕切ってしまったが、芦ノ湖側から南は相模湾、北が丹沢山の南までを含む範囲がGoogle Earthで見た方向、少しブルー系の薄いマスクが噴煙、火山灰、噴石に飛散方向予測とした。

赤で示したポイントが大涌谷であり、オレンジの矢印が地形的な傾斜方向。緑のラインが外輪山を構成する山の稜線だ。噴火による火山灰や噴煙の飛散についてはかなり上空まで舞い上がると思われるので地形的な影響は受けにくいと思われるのだが、噴石については若干、傾斜の影響を受ける可能性あるかも…ということで主に大涌谷の北側がその対象になりそうな気がしている。現に先の『箱根山に火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が出される』で引用した気象庁の発表では制限区域がかなり北向きに延びているのだ。北向きどころか北北西に延びる長円で示されている。

ということで噴石の飛距離はそれほど伸びないかもしれないが、噴煙、火山灰については風の影響を受けることもあり北から北東に向けて飛散すると予測している。具体的に地名を挙げてしまえば、相模原から東京は八王子、三鷹方面の多摩地方である。ちなみにこのあたりの風向は朝から夜半までは北向きの南風、内陸では北東向きの南西の風である。モロに上記の地域へ向けて灰を運ぶ風になってしまう。逆に夜半から朝にかけては北の風、即ち北から南へ向かう風が吹いており、時間帯によって飛散する方向はかなりバラつきがあるものと推測。

基本的には首都圏と富士山を結ぶ線上に箱根が入ってしまっているので、関東ローム層という火山灰地質の地域は大凡、今回の箱根の噴火影響範囲であると考えても良さそうである。

そして最後は一番懸念したい火砕流について少し考えて見る。

その前に先のGoogle Earthで見た大涌谷及び箱根、周囲の地形を思い出しながら考えていく必要がある。そして箱根の生い立ち、即ち火山の歴史というものもそこに加味していく必要があるので参考となるサイトをメモしておく。

温泉の科学

直リンクとしてしまったが、ここでは箱根山系の形成における歴史的事実を地質ボーリング等の調査結果などにより導き出された現在の常識を元に解説されているので一通り読んでおく。

そのなかでも重要なのは次の部分だ。

箱根火山の生い立ち

上記のマスクしていない部分、素のところを理解しておく必要があるのである。ネット上には「過去、横浜まで火砕流が襲った」という不安を煽るキチガイが声を大きくして騒いでいるのだが、箱根の歴史をひもとくと7万年から5万年前の期間にその大規模な火砕流が発生したと推測されている。その大規模な火砕流が発生したのはこの地形が形成される前、即ち8万年前の地形があって初めて横浜まで到達出来たのである。そう、カルデラ内が噴出物で埋ってしまっていてそこから溢れる様に火砕流は山を下っていったのである。

ところが現在の箱根の地形はどうであろうか?その後のカルデラの沈降や新たな噴火により大火砕流発生当時とは全く違ってしまっているのだ。先のGoogle Earthを見ても判る通り、大涌谷と小田原の間にも外輪山を形成する高い稜線が繋がっているのである。当に高い壁が存在するのだ。オマケに大涌谷は北及び北西方向へ傾斜していて、火砕流が発生しても仙石原方面へ下ってしまう。ヨコハマとは全く方向が違ってしまっているのだ。

早い話が現在の大涌谷で大規模な火砕流が発生したとしてもこの外輪山を越えることはほとんど不可能なのではないだろうかと考えているのだ。逆に言うとカルデラの中、芦ノ湖を含む外輪山で囲まれた地形の中に充満するがごとく火砕流の湯船状態というのが正直なところである。横浜はおろか、小田原にすら到達しそうもないのである。ただ、谷にそって南東方向の湯河原に関しては外輪山に反射したものが流れてくる可能性はあるが、破壊的なその力はかなり弱まっているのではないかと思ってしまう。

ということでことさら「安全だ」というつもりは無いが「キケンだ」というものでも無い。気象庁は「噴火の可能性はある」としているがまだ噴火したワケではない。正直言って実際に噴火してみないと何が何処に飛んで行くのか分からない…というのが正直なところであろう。暫くは気象庁の大本営発表を注意深くチェックするしかやることは無さそうである。

 

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このページは、たくが2015年5月 8日 08:54に書いた覚え書きです。

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